心療内科豆知識ナビ
心と身体のつながり
心と身体の円環モデル
心と身体の関係について、よく「ストレスで胃が痛い」や「心因性の発熱」などといった言い方を耳にします。このような言い方には、過度のストレスや心理的原因が直に病気や体の不調を招くというような直線的な理解や捉え方が流布しているという背景があります。
しかし、心と身体の関係はそれほど単純なものではありません。例えば、「仕事によるストレスが原因で、胃潰瘍になった」という場合、逆に胃潰瘍の症状がストレスを発生させて、その結果が仕事に響くことで新たなストレスとなっている、ということもあり得ます。
仕事のストレスが同様にあっても、病気ならない人はたくさんいますから、元々の体質や生活習慣などが原因である可能性もあるでしょう。仕事で受けるストレスより、忙しくて食生活が乱れたり、睡眠不足やコーヒーの飲み過ぎなどで胃壁が荒れたのかも知れません。
このように、ストレス、即、胃潰瘍、と単純に結ばれるものではなく、また一方通行というわけでもありません。直線的な捉え方に対して、要因どうしの相互作用や、多くの要因を考慮した捉え方を、円環モデルなどと言います。つまり体質や生活習慣、食生活、ストレス、行動パターンなどの様々な要因と、胃潰瘍という病態は、それぞれが互いに関係しあって一つの体系を形作っている、という捉え方です。
このような円環的モデルで考えれば、その中の一つだけを切り出して、例えば「仕事によるストレスが原因で胃潰瘍になった」などという単純な言い方はできません。もし、様々な要因の中から仕事のストレスだけを取り除くことが出来たとしても、仕事のストレスがなくなったら、まわりまわって仕事をやる気も低下してしまう、ということも十分あり得るのです。